リメイクはリメイクのよさが(血涙)

撮り溜めてた『東京ミュウミュウ にゃ〜』、やっと見始めました!

…のですが、途中で挫折!

 

昔の漫画、アニメが好きで始まる前の期待感は上がっていたのですがその後かなりの低評価に及び腰になってしまいました💧

 

ですが低評価なんてネットの中の出来事!

今までもまあこれはこれで、と受け入れてきた作品は少なくない!

ならば大丈夫なはず…!

 

とはならなかったです(´;ω;`)

物語、声優など散々言われてきた低評価、まあ大体その通りでした。

 

途中までしかみていませんが駆け足感は拭えず、若干いちごさん躁鬱ですか?ぐらいの情緒不安定さ。

まあ笑ったり怒ったり悲しんだり、少女漫画なんてそんなもんですもんね。

と、とりあえずこれは納得させて。

少ない話数ですし、確か昔は50話くらいでしたから仕方ありません(⌒-⌒; )

それでも昔も確か若干漫画とアニメも内容が違ったと思う(かなりうろ覚え)のでそういうのは大人の事情かもなので仕方ない!

 

声優…はぶっちゃけ顔採用っぽいので大人の事情パート2ですね仕方ない(諦め)

どうでも良いですが声優がキャラの格好するのはミルキィホームズ が1番好きです^_^

声も私的にはなんら問題ない萌えキャラっぽい声でしたので好きでした💕

みもりんすごいね!

キャラの格好出来て演技がすごい人を探そうと思うと必ずどっかしら違うとこ出てくると思うのです。

ただ個人的に青山くんは緒方さんが出すあの掠れた声がツボでしたので少し残念でした(´ω`)

まあそれは製作者方の方針なのか知りませんが。

個人的に内田さんが入るとイメージ的に作風が変わります笑

あんスタを見てない私にとって内田さんはやはり伏黒イメージです。

 

まあ、総合的にあの当時の声優さんは実力派化物揃いだったということで落ち着きました。

 

と、ゆうわけで物語と声優についてはもう仕方がない!と思うことにした私です。

それ取ったら何が残るか?

この世は全て妥協と諦めでできています。

その二つがあれば人生楽しく過ごせますよ。

 

さて、この2点についてはまあ都合上仕方がないです。

作画崩壊もまあアニメには付き物です。

絵柄も仕方ない(もう何回目か分からん)。

というか主役側にはめちゃくちゃ違和感あったのに敵側に全く違和感なかった不思議。

キッシュって実は今風だった…?

 

 

ただ上記の2点以外で私の中で許せないこと…。

 

 

そう、衣装と変身バンクですね(知らんがな)。

 

 

 

変身バンクの最初の、遺伝子情報っぽい演出良かったのに無くなってたことが地味にショックだった…。

なんですかね、倫理的に問題でもあったんですかね。

そもそもそういう話じゃなかったのかな…?

お話に絡んだ変身バンクで結構好きだったんでけどね。

あといちごがくるくる回って最後決めるシーンめちゃくちゃ大好きだったのに、変身バンクが丸々変わっててこれが時代の変化かぁ…と。

 

 

そ・し・て!

何より!

あの謎の首元のリボン!

太もものリボン!

 

Why!?

 

チョーカーと太もものベルト、どこいった。

 

あのチョーカーと太ももベルトがいいんです!

可愛いんです!

あれ可愛いんですか!?

露出度高すぎる衣装にリボンて!

何がなんでもリボンをつけてやるという明確な意思を感じるんですけど!

逆に如何わしくないですか!?

製作者の趣味入ってません!?

 

 

 

怒るとこそこ?と言われようがむしろお前が趣味に走ってるだろと言われようが譲れないものが人にはあるのです。

 

わからない…。もう私には何もわからない…。

変身バンクがあるアニメにとって衣装って重要では…。

衣装変える必要あったのか。

 

声を大に、文字を大にして伝えたい。

 

チョーカー大切、太ももベルト最高

 

 

 

はあ…マギレコやろ…。

 

 

 

副題『仕方のない話』

 

 

除毛クリーム「ヴィート」

除毛クリームの「Veet(ヴィート)」使ってみました!

 

(写真は撮り忘れました🥴!)

 

普段めんどくさいんでカミソリでババっと剃るだけだったんですけど今回は気まぐれに除毛クリームを使ってみることに。

手近にある薬局で適当に掴みやってみることにしたのですが、

 

結論から言うと結構抜けます!

 

やり方は乾いた体に塗って待って落とすだけ!

 

 

ただ…、

抜けてはいるんですよ?

抜けてるんですけどね。

 

なぜか肌から離れない毛が存在する…。

 

摘んだらス…、って取れるんで抜けてはいるんですよね。

おかしいな…、ちゃんとスポンジでくるくるしながらクリーム落としたのに。

これって私だけなのでしょうか。

私の毛があまりに頑固だからだとでも言うのか。

仕方ないので体洗うついでに毛をちまちま取ることに…。

 

まあある程度は毛は抜けますし、カミソリと違って肌がワントーン明るく見えます。

というかかなり白く見えます。

わきなどのカミソリのしにくい部分も簡単にできるところ魅力でした^ ^

 

継続するかはわかりませんが除毛クリームの入りとしては手軽で試してみる分にはいい感じです。

薬局とかならほとんどのところは置いてあるくらい代表的なものなので思いつきで試すことも。

 

私は普通のタイプを選んだんですが少し赤くなりました。(私肌弱いんだ…と今更ながら自覚し少しショックを受けたり受けなかったり)

もともと敏感肌用のものなんですが隣にこれよりさらに敏感肌用のものもあったので肌が弱い人はこちらをぜひ。

 

頑張ってる私✨と輝けます(^ω^)

だらだらと観たので。

昨日ほん怖観ました!

久々のほん怖!

 

…なんですけど、うーん。

やっぱ画質が上がったからかあんま怖くなかったですね😅

ブラウン管の頃は画質もイマイチでそれが逆に恐怖を煽ってた気もします…。

 

 

悲鳴で終わったお母さんは最後どうしたのだろう…🤔

あ、でも言葉のやつは最後後味悪い感じで結構良かったです!面白かった。

 

なんか今回は生霊系多かったですね!

人間が一番怖い、みたいな。

まあ幽霊も元を正せば人間ですし間違ってはない…かな…?

 

最近はほん怖より世にも奇妙な物語で時々挟まれる幽霊系の話の方が怖い気がする今日この頃です。

やっぱ怖い話は幽霊が出たーってやつより日本特有のじわじわくる話の方が好き。

必ず最後化け物が出てくる洋画を観てるとホラーじゃなくアクション映画観てる気分になります(^_^;)ITよ…。途中までは面白かったよ…。

 

ちなみにそんな私は仄暗い水の底からとか闇芝居とか好きです。

あ、でもクロユリ団地も以外と楽しめました!

あれ、これただのバッドエンド厨では…🤔

 

ま、まあ全体的に楽しめました!

ホラー系の前半の雰囲気とか怖くて好きなんですけど、怖いからこそTwitter見ながら観てたらTwitterの方が面白くてホラー観てるのに笑っちゃったりとかしましたね笑

Twitter大喜利しがち…。

 

とゆうことでだらだら感想でした^ ^

自堕落思考

今週のお題「冷やし◯◯」

 

突然ですが携帯が使用4年目に突入しました。

なんか新しいものに手を出すのって抵抗あるんですよね…。

iPhoneなんてすぐに新しい機種が出るし、操作方法覚えるのも契約もめんどくさくて😅

 

ずるずる使ってたら4年目にorz

iPhoneのバッテリーの耐用年数って大体2年くらいでしたっけ?

apple careでバッテリー交換は一度したけどやっぱそろそろかなぁと思ってくることもしばしば。

 

 

ゲームしてるとめちゃくちゃ本体熱くなってくるときあるんですよね。

 

いやー、もうこれはやばいな。と危機感出てくるくらいの熱を放出してるのです。

もう冷蔵庫にぶち込みたいです(お題回収)。

 

永遠に買い替えなくていい特注のiPhoneほしーな_(:3 」∠)_

『箱』 小説

※似非ホラー風味

 

 

1.
 目が覚めた。ミンミン、ミンミンと鳴く蝉の声がより一層暑さを加速させる夜であった。
 喉の渇きを覚えた高遠礼司は、暑さで怠い身体を起こし台所へと向かう。足裏からひんやりと這い上がる感触とぎしぎしと音を立てている床が、夜中にトイレに行けなかった子供のころの思い出を想起させた。
 築30年を超える木造の一軒家は、息子の修司が産まれると同時に5年前に中古として購入したものだ。当時29歳、思わぬ結婚後すぐのことだった自分にとっては中々に大きい買い物だった。けれど、出産という転機に一軒家を購入。居心地が悪かった会社を辞め、前々から自分を誘ってくれていた友人の会社に転職を果たしたのだ。
 今思うととてもじゃないが自分とは思えない大胆な行動をしたものだと思う。自分はどちらかというと行動力のあるタイプではないと自覚している。
 しかしそこは憧れのマイホーム。その夜は珍しく浮かれて滅多に飲まない酒をしこたま飲んで妻の仁美に叱られたことも今ではいい思い出だ。
 
 ……仁美は変わった。
 
 元々仁美は人を叱るタイプの人間ではなく、むしろ逆だった。 礼司と会った当時の仁美はどこか夢みがちなふわふわとした印象を持った、女性というよりは少女と言える甘い雰囲気を纏わせていた。今時の子はこのような感じなのかと考えもしたが、同時期に入社してきた新入社員はキビキビした態度を取っていたので、仁美の個性なのだと少し苦手意識が芽生えたのを今でも覚えてる。
 7歳も歳の離れた女。
 しかも自分とは真逆の人間である。特別美人というわけではないが愛嬌があり、年上から可愛がられやすい仁美。27歳にもなって女性経験もろくになく、仕事しか生きがいのない自分ととても釣り合うものではなかった。
 そんな彼女とまさか早々に結婚をするだなんて、誰が想像できよう。部署の人間はおろか、自分自身ですら酷く驚いたほどだ。
 仁美には多少強引なやり方で結婚を迫られたものの、今では円満と呼ばれる家庭を築いている。
 
 身にまとわりつく暑さにふうふうと息を吐きながらミネラルウォーターを取るため冷蔵庫を開ける。顔に冷気が当たると同時に、ふと、雨の音が聞こえた気がした。
 
ザー、ザー、
 
 降り頻る雨の音を遠くに聞きながら、礼司の瞼にあの夏の日がよぎる。
 夏の匂い、雨の匂い、子供の笑い声、木々のざわめき、地面を駆ける足の裏の、その感触ですら。
 色褪せることのない映像が、脳内にフィルムのように回りだした。
 
 
2.
 もう20年以上も前、あれは俺が10歳の時だった。
 今よりはまだ夏が暑くなかった頃。それでも太陽は照りつけて、肌を焦がしていく。
 家屋よりも田んぼの多い田舎では、影を遮るものも少ない。痛いくらいの太陽が、夏が始まって少し焼けた小麦色の肌に突き刺さった。
「礼ちゃん、今日は冷たいお蕎麦にしましょうね。気をつけていってらっしゃい。」
 優しく笑う祖母に元気よく頷いて玄関口から飛び出すように駆ける。
 両親は自分が生まれて間も無く事故でこの世を去った。居眠り運転の車に巻き込まれたらしい。
 両親の記憶が全くない自分に、祖母はよく両親の話をしてくれた。母がいかに自分が産まれてくることを楽しみにしていたか。父が自分のためにどれだけ仕事に精を出したか。幼い自分にはよく分からなかったし、それならそばにいてくれてもいいじゃないか、と理不尽なことを考えたりもした。
 しかし、自分は優しい祖母が大好きだったし、両親のことを話す祖母はいつもより生き生きとしていてこちらも嬉しくなったので、毎回大人しく聞いていた。
 
 大粒の汗が吹き出して頭から水を被ったようになったころ、ようやく目的地に辿り着く。
 薄暗い森の入り口、木々が生い茂り数歩先も見えないようなそこには3人の人影があった。
「おっせーぞ。礼司!集合時間どんだけすぎてんだ!」
 真っ先にその大きな声を上げたのは太田隆三、クラスのガキ大将のようなやつだ。大きな体格と声でみんなを引っ張っていく存在で、乱暴な物言いが怖いと女子には不評だが、その実とても優しく男気のあるやつだとクラスの男子からは尊敬を寄せられていた。
「無事でよかったよ。こんな暑い中じゃ倒れても不思議はないからね。」
 心底安心したと言う風に話すのは三谷照史と言って、こちらは太田とは正反対で女子に人気のあるやつだ。子供にしては落ち着いている雰囲気が大人っぽいと女子の間で話題なんだとか…。そんな真逆の性格の太田と三谷は何故か仲がいい。よく一緒に昼休みドッジをしている姿が見られるが、彼らの仲は度々僕らの間でも話題に挙がるほど不思議な関係といっても過言はなかった。
 そして、その後ろにもう一人。
 真夏にも関わらず長袖のフードで短パンを履いている無言の人影、伊東雄星。頭を覆い隠すフードのせいでその表情は伺えない。おそらくいつもの仏頂面をしているのだろうが。
 彼は2ヶ月ほど前、東京から引っ越してきたのだと言う。珍しい時期の、その上都会からの転校ということもあってクラスのみんなは沸き立ったが、伊東という男はとにかく不思議な人物だった。
 いつでもダボっとしたフードの服を身につけており、それを被っている。あまりにどこでも、授業中など構わずフードを被っているものだから先生もさすがに注意した。そのときには渋々ながらもフードを脱いだからひどい怪我があるとか禿げがあるとかではないらしい。少なくとも目に見えての異常はなかった。
 とにもかくにもどこか暗く、口数も少ない彼はクラスでも浮いていた。
 そこに声を掛けたのが太田だった。
 持ち前のコミュニケーション能力の高さと強引さで瞬く間に僕らのグループに入れられた伊東は、不服そうな顔をしながらもこうして夏休みの研究と銘打った僕らの村散策に付き合わされているのだ。
「ごめんごめん。今日校舎の掃除当番だったんだ。」
「そんなのほっとけばいいだろ。どうせ夏休みで学校に人なんていないんだし、大して汚れやしねぇ」
 フンッと太田は鼻を鳴らす。
 僕らの村は小さく閉鎖的な村だ。子供も少ない。1クラスが10人ほどで、3クラス存在する。学年はなく、ある程度年齢によってクラス分けはされているが、学習する内容は個人の学年にあったものを学習する。
 そして子供が少ないためか、学校と家とが密接な関係を築いている。夏休み中の学校掃除もその一環だった。5人ほどのグループの当番制で、3グループの子供たちが校舎の掃除、うさぎ小屋の掃除、校庭の草むしりを担当する。終わったらジュースやお菓子を貰えるという特典がついているからか、案外生徒には好評だ。ちなみに皆勤賞だと給食のリクエストを出せる権利をもらえる。その制度を知った時、伊東は軽く目を見開いていた。どうやら都会にはそういった制度はないようだ。
「隆三くん、駄目だよサボったら。」
 三谷が太田を諫めるように言うのを横目に、伊東はそっぽを向く。
 やっぱり、可笑しなやつだ。
 伊東の表情は給食のリクエスト制度を教えた驚いたときと、あとは何を考えているかわからない仏頂面だけだ。そもそも顔は大抵うつむき気味で目も合わせようとしない。
 ますます太田がこのグループに伊東を入れたのかわからなくなる。
「今日は昨日行けなかった森の奥まで行くぞ!」
そんな思考とは裏腹に、煩い太田の声に苦笑しながら僕らは今回の目的である森へと入っていった。
 
「礼くん、森に入ったんだって?」
 お風呂上がりの僕にかかったであろう声に、冷や汗が出る。
 恐る恐る振り向くと、そこには腰に手を当てていかにも怒っていますと感情を露わにしている新田理子がいた。
「もう!森に入っちゃダメって言われてるじゃない。また太田くん達と冒険?危ないからやめなって言ったでしょう?」
 めんどくさいことになった。
 新田理子は僕の近所に住んでいる二つ歳上の女子だ。幼い頃から一緒にいる、姉のような存在だった。本人も正義感が強く、面倒見がいいということもあってよく僕の面倒を見てくれる。そのため祖母も安心して僕を託せるようで、彼女は家に自由に出入りできる権利を得ていた。しかし学年でいう中学生に上がった頃だっただろうか。さらに責任感が上がってきて最近では何かと僕の行動に口を挟んでくるようになった。正直口煩くてやめてほしいのだが気弱で年齢にしては小柄な僕に反論できるはずもなく。こうしてまた項垂れながら話を聞くしかない。便宜上理子姉と呼んでいるがこっそり呼び捨てにしているのは内緒だ。ばれたら拗ねてしばらく手が付けられないほどつっけんどんになる。まるで子供のようだ。
 一通り喋り終わったのだろう理子は、あ、と思い出したように声を上げて言った。
「明日は家の蔵を掃除する日よね?おばあちゃんには言っといたから、一緒に頑張ろうね。」
 あからさまに不満な顔をしていたのだろう。「手伝ってあげるって言ってるでしょ。」と彼女は僕の額に軽いデコピンをかました。ジンジンと痛む額を抑える僕に少し笑いをこぼしながら彼女は最後に言った。
「一の蔵だけだからさ。」
 
 
3.
 僕の家は日本家屋のような、大きな家だ。家も大きいが、土地がありえないほど大きい。祖父が旧家の跡取りでその時の名残だとか何とか祖母は言っていたが、僕からしてみれば庭が大きくても特に面白いことなんてなんにもない。何も飼っていない池も、所々に生える木々も、祖父の趣味であったという盆栽も、全てがつまらなく感じる中、唯一僕の家の中で面白いと思えるものがある。
 蔵だ。
 蔵は4mほどの幅があり、奥行きは6mほどの二階建て。ごく一般的な蔵だ。そんな蔵が同じ大きさで二つ連なっている。僕らは家に近い方を一の蔵、遠い方をニの蔵と呼んでいた。この蔵は探究心の塊である子供には格好の餌食であった。蔵の中には様々なものが乱雑に置かれている。また、暗くじめっとした蔵の中はどこか非日常を詰め込んだかのようにドキドキとさせる何かがあった。
 
 だからこそ、不満があった。
 
「礼くん、マスクちゃんとしなさいね。」
「うん、ちゃんとしてる。」
 理子は満足そうに頷くと一の蔵へと入っていった。
 僕らは毎年蔵掃除の当番をしていた。掃除、と言っても狭い蔵の中の埃をハタキで落とすだけの簡単なものだし、理子はただの好意で手伝ってくれているだけだ。しかし、僕らが任されたのは一の蔵のみであった。二の蔵へ入ることは許されていない。
 一度だけ祖母に何故二の蔵に入ってはいけないのかを聞いたことがある。何の気なしに言ったそれに、いつも優しいはずの祖母は目を吊り上げてとにかく入ってはいけないと怒鳴った。後にも先にも祖母の怒声を聞いたのはその一度きりだ。そんな祖母の剣幕が恐ろしく、僕はその疑問を2度と口に出すまいと誓った。
 蔵掃除はいつもの通り順調に進んでいく。元々窓を開け放し、埃をはらうだけの単純作業なので当たり前だ。
 ふと、部屋の片隅を見遣ると、そこには小さな箱のようなものがあった。
 
 こんなもの、先程まであっただろうか…。
 
 暗くてよく見えなかったのか?
 疑問には思ったがいい加減手が疲れてきたので暇潰しに箱を手に取ってみる。
 小さな箱だ。
 一片が3cmほどの正方形の箱が手に納まる。好奇心から蓋を開けてみようとするも、何かで糊付けされているのかびくりともしない。耳元で箱を振ってみると僅かにカラカラと音を立てた。中に何か入っているのは間違いないようだ。
 僕は益々箱を開けようと躍起になり、力を込めてみるがやはり蓋は少しも動かない。それどころか僕の手の方が力の込めすぎで白くなってしまっている。
 不意に、後ろから頭に衝撃が走った。
 痛む頭を押さえながら後ろを振り向くと、理子が口をへの字に曲げて腕を組んでいた。明らかに怒っている。
 理子は誤魔化すように笑う僕の左手にある箱を見て、怒り顔から一転、不思議そうに首を傾げた。
「それなぁに?」
「あ、ああ。これ落ちてたから、何かなぁ…って。」
 呆れたように溜息をつく理子。
 理子は感情表現が豊かだ。コロコロ変わる表情に、こちらもつられそうになる時がある。
「もう!蔵の物勝手にいじっちゃダメじゃない。天気が崩れてきたから早めに終わらすよ!」
「はぁい」
 プリプリして再び作業に戻る理子の背に気の抜けた返事をしながら、箱を元あった場所に置いて僕も作業へと戻った。
 箱の中身はやはりわからないままだったが、その後の作業で存在ごとすっかり忘れてしまった。
 
「疲れたぁ…」
 ボフン。
 お風呂上がりの火照った体を布団に勢いよくダイブすると、布団は大きな物音を立てながら受け止めてくれる。ずっと動かしていた手が悲鳴をあげていた。
 蔵自体は然程大きいわけではないのだが、どうにもものが多い。その一つ一つを運びながら埃をはらっていくというのはつまらない上に殊の外体力を消費する作業だ。書物も古いので一冊一冊丁寧に扱わないと脆くなっている部分がぼろぼろと崩れていく。何が入っているのかわからない箱だって、動かすことで溜まった埃が舞うので目が痛い。もう最悪だ。
 少し開いた障子から入ってくる生ぬるい風が髪を撫ぜる。ほんの少し湿った感じがする。それと、雨の臭い。雨が降るのだろうか。髪を弄ぶ風を少しくすぐったく思うも、疲れ切った身体は動く気になれず、そのまま寝てしまいそうになる。
 歯を磨かなければいけない。洗濯物も出さなければ。今日の洗濯物は1日分の汗を吸ったせいできっと凶悪な臭いがするだろう。今日の分の宿題も終わらせなければ。1日の目標を決めてやらないとまた夏休みの最終日に泣く羽目になるのは学習済みだ。そうだ、明日の散策の支度もしなければ。結局昨日も森の最奥まで辿り着けなかった。明日こそは絶対辿り着いてみる。そのためには準備をしっかりしていかなければならない。明日は僕の家に集合だから遅刻することはないだろうけど、集合時間に用意が終わっていなければまた太田くんに怒られてしまう。
 頭を必死に動かしてまとまりのない思考を働かせながら身体は今すぐに休眠を欲している。それがわかっているから動く気になれない。
 ぼうっと障子を見つめている僕の耳にバサ、と音が響いた。惰性のように反射的に音のした方を向くと、風でギリギリ椅子にかけてあったズボンが落ちたのだろう。落ちたズボンの大きめのポケットからは、何かがはみ出ていた。ズルズルと怠い体を動かしてそれを手に取ってみる。
 
 それは昼間に蔵で見た小さな箱だった。
 
 あれ、と。確かにあの時元々あった位置に置いてきたはずだった。何故ここにあるのだろう?
 置いたのは床であるから落ちた時に不意にポケットに入ったということではないのは明白だ。
 んー、と唸りながら、蓋に手をかける。好奇心は旺盛な方だ。やはり気になる。持ち出そうと思って持ち出したわけではないのだから。誰に聞かすでもない言い訳をそっと心の中で述べてみた。
 しかし、当然ながら蓋は開かない。
 何度か力を込めたり箱を振ったりしてみるが箱は依然としてそこに存在しているだけである。いい加減飽きて、机の角に叩きつけてみようかとも思ったが、蔵にあったものを無断で持ち出した上に壊したとあってはいくら温厚な祖母でも怒り狂いそうだ。もう祖母の怒ったところは見たくない。
 いくらか残った理性で導き出したのは、明日の仲間内の話題にしてみようというものだった。僕と同じくらい好奇心旺盛な彼らのことだ。きっと中身のわからない箱なんて開けてみたいと思うに決まっている。開けてみた後で、バレないように蔵に戻しておけばいいのだ。とりあえず、寝よう。
 僕は箱を明日持っていくカバンの中に入れ、動かない身体を無理矢理動かしながら寝るための準備を始めた。
 
 おそらくこの時から、僕の後悔は始まっていたのだ。
 
 
4.
ザー、ザー。
 絶え間なく叩きつける雨の音で周囲の人の声まで掻き消されそうだ。
 今朝見た天気予報で、台風が近づいていると言っていた。
 神さんが荒れているのかしらねぇ。
 祖母は手を頬にやりながら困ったように空を見上げた。祖母は昔から信心深い。テレビでは今年の夏は異常気象だと、雨に掻き消されないよう必死に声を張り上げるアナウンサーが映っていた。どこかの中継らしい。後ろを歩く人達の足首までが水に浸かっている。
 
 ん?
 
 アナウンサーの遥か後ろ。横切る通行人たちに混じって、白い服の人がカメラを向いていた。体格からして女、だろうか。風に煽られて役に立たない傘を身体の前に持っていこうとする通行人たちとは対照的に、傘も差さずにただ棒立ちで立っていた。顔は伺いしれない。黒いロングの髪が肌に張り付いているだろうと予測できるほど、服も何もかもがびしょ濡れだった。だというのにその女は気にもせずただカメラを見ていた。
いや、というより僕を、見ているかのような。
『芹沢さん!ありがとうございました!』
 ぱっと、画面が切り替わりカメラがスタジオに戻る。笑顔のアナウンサーが朝の占いコーナーの始まりを告げる。
「礼ちゃん、隆ちゃんたち来たわよ。」
「ばあちゃん!ちゃん付けはもういい加減やめてくれよ!」
 不貞腐れつつバスタオルで身体を拭いながら、ぬう、と障子から太田が出てくる。後から続いて申し訳なさそうに三谷が同じくタオルで頭を拭きながら歩いてきた。
 そして、伊東。
 頭からタオルを被って表情は伺い知れないが、おそらくあの仏頂面をしているのだろう。滴る雫を気にせず頭からタオルを被る姿に、昔テレビで見た試合後のアスリートを思い出した。
「あらあら、もうすっかり大人ね。」
 ふふふ、と笑いながら三人の拭い終わったタオルを回収して満足そうに去っていく祖母は、おそらく呼び方を変える気なんてさらさらないのだ。正直僕もこの年でちゃん付けはやめて欲しいのだが祖母から見てみれば何歳だろうと子供は子供なのだろう。暖簾に腕押しというやつだった。
 祖母が持ってきたお煎餅を豪快に齧りながら太田は憂鬱そうに空を見上げる。
「ついてないよなー雨なんて。」
「せっかくの夏休みなのにまさかこんな土砂降りになるなんて思わなかったね。」
 顔を顰めてぶすくれる太田と、本当に残念そうにため息をつく三谷。伊東はどこを見ているのか、雨が降り頻る庭を見つめている。
 三者三様の言動に少し可笑しくなりながら、僕は、そうだ、と声を上げて昨日蔵から出てきた箱をいそいそと取り出した。ちなみに、然も今思いついた風を装っているがこれは昨日の夜に決めていたことである。
「なんだこれ?」
「昨日蔵掃除だったんだけど、そこで見つけたんだ。力入れても全然開かなくて…。」
「あ、昨日掃除の日だったんだ。お疲れ様。」
「あんな暑い中蔵の掃除なんてお前も大変だなー。」
 ワイワイガヤガヤ。
 ちゃぶ台に置かれたお煎餅を食べながら行われるいつも通りの軽口のやりとり。僕の一等好きな時間だった。同い年の子供が圧倒的に少ないこの村において、気負わずに同じ目線で軽口を叩き合える相手というのは貴重だ。普段年齢などあまり気にならないが、時々そう思うことがある。
「……それ、なに。」
 先程から黙っていた伊東がぽつりと言う。
 気がつくと僕の隣には伊東が座っていた。いつの間に移動したのだろう。座ったことに全く気付かなかったという驚きも勿論あったが、それ以上に伊東が自ら声を上げたということに驚いて僕は一瞬押し黙る。そんな僕を気にもせず、事実、目にも入っていないであろう伊東は、まじまじと箱を見つめる。
「わからない。でも中でコロコロ音がするから何か入ってるとは思うんだ。」
「何か…。」
 ボソリと、伊東がつぶやく。
 なにを言ったのか聞こうとする僕より先に、太田は声を上げた。
「おもしれぇな!これ誰が開けられるか勝負しようぜ!」
 目を輝かせてニンマリと笑う太田。
 三谷は苦笑するが止める気はなさそうだ。その目は強い好奇心を覗かせていた。
 あいも変わらず伊東は考え込むように俯いている。
 僕は伊東に向けていた目を再び箱に戻す。
 まずは僕らの中で一番力が強い太田が箱の蓋に手をかけるが、昨日の僕と同じように力の入れすぎで手が白くなるだけだった。力には自慢があったであろう太田はむすりとしている。
 三谷は箱の蓋を指で擦って蓋の周りを観察した。
「これ、のりとか何かがついているとかいうわけじゃないみたいだけど…。なんで開かないんだろう?」
「ぴったりはまってるとか?」
「こういうのはそこを叩いたり温めたら開くものだけど。」
「それジャムの蓋とかじゃねぇか」
「まあね。あとはまあ穴開けたり、とか?」
「ちょ、待って。箱壊すのはダメ!」
「冗談だよ。」
 ふふふ、と笑う三谷は先ほどの祖母とそっくりで、あながち冗談でもないのだろうな、とため息が出る。
 その後も懸命に力を入れたり、箱と蓋の隙間に爪を入れてなぞってみたり、軽く叩いてみたりと出来る限りのことは試してみたが、やはり蓋は開かない。
 ここまで開かないと、この箱自身が開かないことを望んでいるかのように錯覚してしまいそうになった。
「あ〜〜、開かねぇ!!」
「どうしようもないねぇ、これ。」
 ごろんと太田が寝転がり、ドアの外を見てふと思いついたように言う。
「雨にさらしてみたら?」
「それ、なんの意味があるの?」
「滑って開くんじゃね?」
「こんな古い箱を土砂降りの雨の中にさらしたら壊れちゃうかもよ。礼司くんの家のものなんだから。」
 太田はちぇ、といって寝返りを打った後、思いついたように言った。しかし先ほどと違うのは焦ったかのように飛び起きたことである。
「やべ!買い物頼まれてたんだった!」
「買い物?」
「市原のおばちゃんのとこでコロッケ買ってこいってオカンが!」
 現在時刻は午後4時過ぎ。商店街で市原のおばちゃんが経営している『コロッケいちころ!』は午後5時閉店である。僕の家から商店街まで徒歩20分ほどではあるが、この雨の中だ。早めに出発した方がいいだろう。
「じゃあそろそろ行かないとね。」
「ああ、わりぃな。その箱開けられなくて。」
「別に大丈夫だよ。あとでおばあちゃんにも聞いてみるし。」
「それじゃあ、僕らもそろそろお暇しようかな。」
 三谷が立ったのを合図に、それぞれ帰りの支度をする。
 最後まで、伊東がじっと箱を見つめていたのがやけに印象に残った。
 
 3人を玄関先まで見送った後、全員で食べた物を片付けているときに先ほどの太田の言葉が蘇る。
 雨に、さらす。
 外を見ると、先ほどよりは弱まった雨が地面に吸い込まれていくのが見えた。
 僕は箱を手に取り、少しだけ早くなった鼓動を感じながら縁側に置いてあるサンダルを足に引っ掛けた。外に出て、箱を持った手を前にやり、空を見上げる。
 1秒、2秒、3秒…。
 1分は経っただろうか。箱に変化は見られない。当たり前だ。雨にさらしただけなのだから。
 それでも少しがっかりしながら腕を下げた僕の耳に、カラン、と軽いものが地面に落ちる音が聞こえた。
 地面を見ると、箱の蓋が地面に落ちている。
 慌てて箱を見ると、確かに三谷の言っていた通り箱にはなんの糊付けもされておらず、何故あれほど力を入れても開かなかったのかがわからない。
 そして、地面に落ちた蓋の横。
 直径は5cmほどだろうか。くの字に曲がった、茶色い干物のようなものがそこにはあった。
それは雨上がりの炎天下に見るミミズのような、枯れ木のような。まじまじと見てみてみたが、それがなんなのかは一向にわからない。
 とりあえず『それ』を摘んで箱に戻そうとする。
 『それ』に触った時、それは一瞬のことだった。
 僕は強い嫌悪感に襲われた。胸がムカムカして、猛烈な吐き気と眩暈がする。世の中の全てが憎く思えた。生きとし生けるもの全てを殺してやりたいと。いや、殺してやる、と。
 
 瞬間的に訪れた自分のものではない、自分が感じたことのない強い思いに混乱が押し寄せる。投げ捨てるように箱の中に放り込んで蓋を勢いづけて閉めると、少しは気分が楽になった気がした。
 彼らに明日相談してみよう。
 そうすればこの奇妙な感覚も笑い話になるはずだ。
 濡れた身体が、ふるりと震えた。
 
 しかし、次の日僕が彼らに会うことはなかった。
 
 
5.
「え、具合が悪い?」
「ええ、昨日の夜からだるそうにしてて夕飯もいつもより量が少なかったし…。今朝になってベッドから出てこなくてね。いつもなら朝になったらちゃんと支度も済まして下に降りてくるのに。どうしちゃったのかしら。」
 困ったように頬に手をやって首を傾げる三谷のお母さん。
 ここに来る前に寄った太田の家でも同じようなことを言われた。
『ベッドから中々出て来なくてね〜。いつもなら喧しいくらいの勢いで起きてくんのに。』
 太田によく似た大柄な身体が、ふん、と鼻をならす。その顔には呆れと心配があった。
 
 僕は昨日の帰り際に約束したいつもの待ち合わせ場所、森の入り口まで来ていた。
 しかし、何分待っても一向に誰一人として姿を現さない。炎天下の中滴り落ちる汗が、地面にシミを5滴ほど作ったところで、僕は二人の家まで行ってみることにした。そうして言った先で告げられたのは、二人は具合を悪くして寝込んでいる、ということだった。
 二人の母親は揃って雨に打たれたからだよ、すぐ治る、と僕を励ましてくれた。よほど僕がしょぼんとしていたのだろう。
 とぼとぼと炎天下の道を木陰を探すように歩く。あんな丈夫な二人が揃って具合を悪くするなんて、少し変な感じだ。確かに昨日は雨も降っていたが二人は雨具を持っていたし、商店街の道は屋根がついてる。コロッケを買いに行ったとするなら商店街を抜けるはずだ。それなら当然屋根の下を歩くことになる。
 それに、伊東のことも気になる。伊東の家はあいにく知らないのでどう言う状況かは知らないが、待ち合わせ場所に来なかったということは彼もまた体調を崩しているのだろう。太田に連れ回されて嫌そうな顔をしているところは何度も見たことはあるが、彼が約束を破ったところは見たことないので、おそらくドタキャンなどではないのだと思う。
 では、いったいどうしたのだろう?
 3人も同時に体調が悪くなるなど果たしてあり得るだろうか。(伊東に関しては推測だが)
 昨日僕の家で出したお煎餅が悪くなっていたのだろうか?
 しかしあのお煎餅は僕も食べている。賞味期限も切れてはいなかったはずだ。
 うんうんと唸りながらうつむき加減でもと来た道を歩いていると柔らかい何かにぶつかる。考え事に気を取られすぎていて前を歩く人にぶつかってしまったようだ。
 少し気恥しく思いながら前を向くが、そこには誰もいなかった。
 あれ、と思いながらきょろきょろとあたりを見渡してみるが、前方に人影はない。道は曲がり角もない一本道。見晴らしもよくあたり一面に田畑が広がっているような道だ。たとえ曲がり角があったってこんなにすぐ人影を見失うなんてことはあるはずがない。
 暑い日差しが突き刺さるのを感じながらも、背中に冷や汗が一筋伝った。
「あれ、礼ちゃん?」
 びくり、と一瞬身体がはねた気がする。恐る恐る後ろを振り向くと、そこには不思議そうな顔をした理子がこちらを見ていた。
「こんなところで立ち止まってどうしたの?」
「・・・別に、なんでも。」
 震えそうになる声を引き絞りながらなんとかそれだけ返す。
 未だ不思議そうにしている理子を背に歩き出すと、理子は小走りに横に並んで歩き出した。
 横に感じる人の温度に、少しの安心感が胸を満たす。
「太田くん達のところ行ってたの?」
「うん。でもみんな具合が悪いって。」
「そうなんだ・・・。心配だね。」
 理子が声のトーンを落とす。本気で心配しているのだ。
 考えていたことを相談すべきだろうか。そうすればいつもと変わらない明るい笑顔で笑い飛ばしてくれるかもしれない。少しは安心できる気がする。
 可笑しそうに笑う理子を想像してみる。途端に自分が思い悩んでいることが馬鹿らしく感じてきた。
 二人はたまたま同時に具合を崩したのだ。ああ、なんならあの後一緒にコロッケを買いに行ってついでとばかりに二人で買い食いをしたんだ。もしかしたらどちらかの家で夕飯を一緒に食べたのかもしれない。そのコロッケが悪くなっていたので二人は体調を崩したのだ。伊東は二人の状態をいち早く知っていて来なかったのだ。もともと乗り気ではなかったのだし、半数が体調不良と知ったら好機とばかりに休むに違いない。そうに決まっている。
 一から状況に理由をつけていったら思いのほか納得してしまい、同時にさっきまで真剣に体調不良の原因を考えていた自分が恥ずかしくなってきた。
 赤くなった顔を隠すように下を向いた僕に、理子は何を誤解したのか努めて明るく言う。
「まあ、きっと夏風邪とかだよ。礼くんも気をつけなきゃね。ごはんしっかり食べるんだよ。それから森には行かないこと!」
「最後のは関係ないじゃん・・・」
「安全って意味!怪我でもしたらどうするの。今回だってまた太田くん達と森に行くつもりだったんでしょ。駄目だよ。」
 どんどん声のトーンが上がってきた。お小言モードになってしまったのを感じて内心げんなりする。理子のお小言はとにかく長い。理子のお母さんも理子に対して口うるさいタイプだからうつったのだろう。遺伝というやつかもしれない。
 理子は未だ言葉を続けている。むしろヒートアップしてきたのか、洗濯物はすぐ出せだとか前の晩に翌日の準備はしとけだとか明らかに体調とは関係なことまで言い出した。漫画を読み散らかしたところで僕の体調は悪くならないと思う。しかし、一言反論するとその言葉は10にも20にもなって返ってくるから僕には反論するという考えはない。
「そういえばほら、あの子・・・、なんて言ったかな、東京から転校してきた・・・」
「伊東くん?」
「そう!その子も寝込んでいるの?」
 理子が伊東のことを知っていたのは驚きだった。いや、小さな村ではよくあることだ。伊東のげんなりした顔が思い浮かぶ。
「わからない」
「お見舞い行ってあげないの?」
「家がわからないから・・・」
「そっかあ、心配だね。そういえば伊東くんって年上の人たちからすごい人気あるって知ってた?」
 気を取り直すように理子は手の平同士をパンっと勢いよく打った。
 曰く、お年寄りの荷物を持ってあげた、迷子の手を引きながら親を一緒に探してあげた、だの。理子は指を折り曲げながらつらつらと述べ始めた。ただの不愛想だと思っていたが困っている人がいたら見過ごせないタイプらしい。
 あの、伊東が。
「私もこの前迷子の子を親御さんに届けてあげるの見てさ。」
「ふうん。」
「本当にいい子だよねあの子。かっこいいしクラスでもモテるでしょう?」
「知らない。」
 実際、伊東は年下年上関係なくモテていると思う。クラスであれだけ浮いていても女子はきゃーきゃー言っているくらいだ。もちろん男子からは不評である。
「彼女とかいないのかな~」
「知らない」
「告白とかはされてるでしょ」
「知らない」
「あー、でも話しかけづらいタイプだから秘めたる恋って感じかな」
「・・・知らない」
 知らない知らない知らない知らない。
 なぜ僕にそんなことを言うんだ。僕が知るわけないだろう。大体なんでさっきから伊東のことばっか。そんなに気になるなら伊東のところに行けばいいじゃないか。
「礼くん?」
 そうだそもそもあいつが転校してきたのが悪いんだ。僕らずっと三人でやってきたのに太田くんも太田くんだ。なんであんな得体のしれないやつを仲間に入れたんだ。いつもぶすっとしてて何考えているかわからないようなやつを・・・。
「礼くんってば!」
「・・・さい」
「・・・え?」
「うるさいって言ってるんだよ!さっきから伊東くん伊東くん伊東くんって。僕はあんな奴嫌いだし知りたくもない。あいつのせいでみんなおかしくなっちゃったんだ。疫病神なんだよあいつは!」
 ぐちゃぐちゃ、ぐちゃ。嫌な音が心からする。
 頭の整理もつかないまま他人事のように声だけが僕と理子しかいない空間に響いた。
「そんなに好きなら直接言えばいいんじゃないか。お優しいあいつなら断らないかもよ?なんなら押し倒してみればいい。流されてくれるかもね」
 げらげらと品のない自分のものらしい笑い声。
 息をのむ声。
 笑いすぎて涙があふれて止まらない僕の頬に乾いた音。
 理子の顔を見て、瞬間的に殴ろうとした手を止める僕。
 僕の笑い涙とは違う涙をぼろぼろと流しながらわなわなと震える理子は、何も言わずに僕の横をすり抜けていく。
 自分のことなのに何が起きたのかわからない。
 ただただ、一人になった道で、ザーザーと雨の音が耳の奥で木霊した。
 
 
6.
 障子から差し込んでくる朝日は決して健やかな朝を運んではくれない。
 昨日の心の靄は晴れないまま、寝起きの気だるげな身体で寝返りを打って気の抜けたため息を吐いた。ため息一つじゃ自分のどうしようもない気持ちは吹き飛ばされなかったけれど。
 どうして、あんなことを言ってしまったのだろう。イライラしていたのは本当だがあんな言葉、言ったことはおろか考えたことすらないはずだ。
 理子の涙を思い出す。さらに身体の重みが増した気がした。
 水のしみ込んだスポンジのように重くなった体に鞭打って起き上がる。むくり。そんな擬音が正しいほどに気だるげな起き方だ。
 今日は何をしようか。昨日の今日で理子のところに行くわけにもいかない。太田たちのところでも行ってみようか。今日は昨日よりも体調がよくなっているかもしれない。なんなら家に上げてもらってお見舞いしてもいいかもしれない。それから理子にも謝って、
「礼ちゃん」
 ふと、廊下を歩きながら思案していた僕に、考えを遮るかのような祖母の声が静かに響いた。
 うつむいていた顔を上げて廊下の先を見る。廊下の先にはいつもの祖母。その姿は照らされる太陽とは違ってどこか薄暗いような気がした。
「おばあちゃん、」
「ちょいとこちらにおいで」
 どうしたの、と続けようとした声を遮り祖母が僕を呼ぶ。
 それはあまり聞いたことのない声で、聞き覚えのあるような、ないような、不思議な声音をしていた。
「・・・おばあちゃん・・・?」
 何かがおかしいと。
 その違和感に気づかないうちに後ろから呼ばれた。
「礼ちゃん!」
 めったに張り上げたことのないような祖母の声。
 昔怒られた、あの一度だけしか聞いたことのないような怒声。
 あれ、祖母は今、目の前に。
 反射的に後ろを振り向き祖母のほうに直立する。祖母は顔は確かに怒っていたけれど、それ以上の不安を子供の僕でもひしひしと感じた。
「礼ちゃん、最近何か拾ったりした」
 それは質問ではなく断言だったように思う。やけに確信的な声色だった。
「何かって・・・?」
「何かは、何かよ。・・・・・・蔵で」
 どきり、と体がこわばる。何故、知っているのだろう。あれはあの三人しか持ち帰ったことを知らせていないはず。きっと誰かが言ったんだ。じゃあ誰が。そんなこと決まっている、伊東だ。点数稼ぎのためにチクったに違いない。最初から怪しいとは思っていたんだ。あいつさえいなければ、
「礼ちゃん。持ってるのね」
 先ほどと同じ、確信している言葉。問いではない、確認。
 なんてことだろう。祖母も伊東に騙されてしまったのだ。だからこんな物言いを。僕がみんなを助けなければ。
 大広間にもってきなさい、と。
 祖母は言い残して広間へと去っていった。
 背後を振り向くと、先ほどの祖母らしきものは影も形もなくなっていた。
 
 それは存外あっけなく見つかった。
 ポケットに入れっぱなしの箱。さすがに雨は乾いてカラカラだ。洗濯物に出さなかったのが幸いしたな、と暢気なことを思いながら考える。
 祖母は、この箱をどうするつもりなのだろうか。捨てる?壊す?燃やす?いづれにせよ自分のもとには戻ってこないだろうことはわかる。
 途端に、この箱は守らなければいけない、という使命感が掻き立てられる。理由はわからない。もしかしたらこれは第六感というやつなのかもしれない。
 第六感。そうだ。あのときの祖母の雰囲気はなんだか尋常じゃなかった。それに部屋に戻るときに聞こえた大広間には大人たちがたくさんいた。宴会の時期でもないというのに。声は、なんだか深刻そうで。どのおじさんたちも眉に皺を寄せていた。
おばあちゃんも伊東に何か吹き込まれたらしいし。
 ・・・そうだ、伊東だ。
 この箱のことをチクった伊東があることないこと吹き込んだのかもしれない。太田と三谷の体調不良も彼が原因なのではないか?三谷はともかくあの頑丈な太田まで体調不良というのは怪しい。すべてがすべて、伊東の仕組んだことだったとしたら・・・。
 僕はなるべく大広間と接さない廊下を小走りで進みながら勝手口を通過しようとして、はたと思う。
 伊東は運動神経がいい。もしかしたら僕も返り討ちに合ってしまうかもしれない。
そこで、僕は台所にあった中くらいの包丁を手に取る。昔見た時代劇の侍のように着物の間に入れていざというときに取り出せるようにしたいが、鞘もないし今の僕は半そで短パンだ。仕方なしに包丁をタオルに包んで懐へと入れる。武器を手に入れたことで少しは気が楽になったかのように思う。
 懐に入った包丁を確かめて箱をポケットに入れ、勝手口から外に出る。
 先ほどまで日差しを運んでくれていた空は、分厚い雲に覆われていた。
 
 走る。走る。走る。只管に走る。
 道順なんてものは端からない。目的地は着いたその先にある。
 息が上がる。懐に入っている包丁を内包したタオルが汗を吸うのがわかる。
 走りながら考える。僕は、なぜ走っているのか。
 僕と、僕の中にいる何かが話し合っている。
 なぜ走っている。やらなければいけないことがあるから。なにをしなければいけない。着いたらわかる。どこに向かっている。向かえばわかる。
 僕が疑問を零し、何かがそれに答える。
 なぜ、なぜ、なぜ。
 なぜ、包丁を、持っている?
「礼くん」
 理子の、声が。ああ、足をとめてしまった。
「ねえ、礼くん、どこに行くの?」
 振り向けない。振り向いてはいけない。
「礼くん、どうしたの?」
 うるさい。話しかけるな。声が不愉快なんだ。
「あのね、私、昨日のこと」
 からん。
 ポケットにしまった箱が軽い音を立てて地面へと落ちていった。
 落ちた衝撃で開いた箱。
 中の干からびた何かは、そこにはなかった。
「拾わないの?」
 箱を凝視して動かない僕に、理子は不思議そうに言った後、地面に転がる箱に手を伸ばした。
「え」
 瞬間だった。
 その場から理子がいなくなった。跡形もなく。
 まるで、最初からそこには誰もいないかのように。
 後ろからざわざわと音がする。
 不特定多数の、大人の声。駆けてくる足音。
 それに混じって聞こえる、祖母の声。
 祖母が声をかけてくるまで、僕はその場から動けなかった。
 
「~~~!!」
「~~?」
「~~~~~」
 険しい顔の大人たちが何かを喚いている。
 
だからあのとき、
いや、でもたしかに…。
そもそもなんで!
 
 同じ言語のはずなのに。日本語のはずなのに。
 僕には何一つ意味なんて分からなかった。
 ただただぼーっとしている。両手は皺だらけの祖母の、温かな手に包み込まれるように拘束されていた。そんなことされなくても、何もやる気も、考える気力もないのに。
 それでも僕の目は箱を見ていたし、なんとか祖母の拘束を外して箱に手を伸ばそうとしていた。
 まるで自分の体ではないような感覚。
 大人たちが争うように話をしている間、僕と祖母は綱引きのような攻防を只管続けていた。
 
「いい?礼ちゃん。あなたはここにはもう来てはいけないわ」
 険しい顔をする祖母の目には隠し切れない涙が滲んでいた。
 何の説明もされないまま、同級生への挨拶も許されず、祖母と同じく険しい顔をした大人たちを背に僕は車に乗り込む。
 それまで存在の一切すらにおわせなかった親戚だと名乗る中年の男は、無言のまま車を走らせる。
「またか・・・」
 彼が家に迎えに来た際に放った一言が、やけに耳に残った。
 
 
7.
 真っ暗闇の中、後ろから手が伸びてきた。
「冷蔵庫、開けっ放しはやめて」
  不機嫌な表情の仁美が、背後から冷蔵庫の扉を抑える。
 白い、箱の扉。
「眠れないの?」
「喉が渇いてな。」
 へらりと笑えば、仁美は何の疑いもなく、そう。と返してきた。
「とにかくちゃんと閉めてね。」
 欠伸混じりに仁美は言って寝室へと姿を消す。
 
これは一生仁美には話せない。
夫婦円満の秘訣は隠し事である、とは誰に言われたのだったか。
 
昨日も今日も変わらず晴れで。
雨は一滴も降っていない。
 
 

本音は

 

かむかむレモン買えたぁぁぁぁぁ😭😭😭

 

出先のウェルシアで家計?応援キャンペーンで安くなってました♪

嬉しいけどウェルシアの応援キャンペーンの決め方って時々???ってなる時があります。

昔アポロが安くなってて???でした。

まあなんとなくコロナで子供が家にいる機会が増えておやつにかな、と思いましたけどね。

私が3時のおやつ食べてた時代は6歳の小学校上がる前までしたよ😒

保育園で出された程度です…。

 

今って3時のおやつがある家庭ってどのくらいあるんでしょうかね。

今の子供って結構お金持ってるから割とお菓子とか自分で買っちゃうイメージありますけど。

とゆうかかむかむレモンで家計を応援するとは…🤔

ビタミンCがあるから?

 

とりあえず助かりました😌

これで好きなだけカムカム出来ます笑

 

基本出不精ですがこういう探して物が見つかるのはいいですね。

同じチェーンでもだいぶ品揃え違いますし。

 

(ただやはり生活圏に欲しいです。)

カムカム…カムカム…

かむかむレモンにハマってます(唐突)。

 

なんか食べる手が止まんないですよね〜。

いつの間にか一箱なくなってる不思議((((;゚Д゚)))))))

 

でもなかなか手に入んなくて…。

近所の店ほとんど置いてませんでした😭

袋タイプじゃなくてボトルタイプが欲しいというこだわりのせいか、ボトルタイプが見つからないんです!

美味しい…カムカム…

 

なんでもストックしときたいマンなんで2個3個買いたいところなんですけど、売ってるところでも2個が限界でしたね。

そもそも売ってるところが数軒だから泣

 

ぶどうも試しに食べてはみたんですが、やはりレモン🍋

レモンしか勝たん。です。

 

いつの日か、安定してかむかむレモンが供給される店を探す。それが今の私の目標です。(志低奴)